例会の記録 2023年6月「山登りの楽しみと”日本百名山”」

6月23日(金)、スペーシア会議室にて6月の例会を開催した。当初の予定を1週間遅らせたこともあってか、出席者は4名と低調だった。この日のテーマは「山登りの楽しみと”日本百名山”」とした。

まず、私からプレゼン。

私は高校時代から山登りに親しんできた。高校時代は一応、ワンダーフォーゲル部に所属していたが、進学校だったこともあり、実際に山に登る機会は少なく、キャンプなどの基礎知識の習得やサーキットトレーニングばかりやっていた。学生時代以降は、気の合う友人と、数人のチームで、家族と、あるいは単独であちこちの山に登ってきた。近年は山好きの妻と登ることが多い。

今頃の季節になると、夏山の企画を考えるのが恒例。ところがコロナ禍の3年間、山小屋での宿泊がほぼできなくなったため、夏山に行けない状態が続いた。今年こそはと、雑誌やガイドブックを眺めているところだが、夏山を選ぶ際、”日本百名山”はやはり気になる。

1964年、新潮社から刊行され大ヒットした深田久弥の『日本百名山』は、山岳雑誌の連載記事を編集したものであるが、実際に全ての山の山頂を極めたというからすごい。その時、著者はすでに還暦を過ぎていた。執念を感じる。

今でこそ、”百名山ハンター”が全国各地の百名山に押しかけるようになっているが、戦前から戦後の高度成長期、1964年というと東京オリンピックの年にかけての話だから、マイカーで回ったとは考えにくい。となると山の麓にたどり着くためのアクセスも大変だったろうし、登山道もきちんと整備されていない山もあったろうから、深田の仕事には世間を感服させるだけの力があったと思う。

私は山登り歴40数年になるが、”日本百名山”はまだ20ほどしか登っていない。その中から思い出深い山、登りやすい山などをいくつか紹介した。

鳥海山 (ちょうかいさん)

秋田と山形の県境に聳える鳥海山は、綺麗な形の成層火山で、”日本百名山”の中でもとても人気がある。私は2016年7月下旬に登った。せっかく遠くまで足を伸ばすのだから観光も兼ねて、まず象潟の温泉で一泊、山小屋で一泊、下山して酒田で一泊の計三泊四日の旅だった。この山の魅力は、なんと言っても海岸近くから標高2,236mの三角形の山が聳えているところ。登山口の鉾立から登っていくと、常に後ろを振り返ると日本海が見える。素晴らしい景色である。二日目、我々がもう少しで山頂という山小屋で休憩していたら、ヘリコプターがバタバタと飛んできて山頂付近を旋回し始めた。どうやら怪我人の救出に急行してきたようだ。物々しい雰囲気の中、救出作戦を見守っているうちに時間が経過してしまったので、登頂を諦め下山したのだった。もう少しだったのに残念。

瑞牆山 (みずがきやま)

長野県との県境に近い山梨県の山。標高2,230mなので鳥海山とほぼ同じだが、単独峰の鳥海山と違い奥秩父の山の連なりに位置し、周囲には遥かに標高の高い富士山、南アルプス、八ヶ岳などが取り巻いているので、あまり高山という感じはしない。しかし、登山口の瑞牆山荘から仰ぎ見る瑞牆山はゴツゴツした岩山で、神々しい感じがする。山頂は岩の塊で360°展望できる。この山は日帰りで登れるので、”日本百名山”の入門として最適だと思う。記録を辿ると、私が最後に登ったのは2009年7月。もう14年も経っている。そろそろまた登りたくなった。

八ヶ岳 (やつがたけ)

名前の通り、八ヶ岳にはピークがたくさんあるが、一番高い赤岳の標高は2,899mである。深田久弥も書いているが、八ヶ岳には宗教臭さがない。大抵の山は、山頂に祠があったり、鳥居が立っていたり、神社があったりするのだが、南北に延びた八ヶ岳ではそんなものは見当たらない。首都圏から近く、蓼科高原、白樺湖、清里、泉郷などリゾート開発も盛んで、美術館も多い。瀟洒なイメージがある。私はロープウェイのある北横岳周辺や白駒池、にゅう、高見石、天狗岳、横岳、赤岳などに何度も足を運んだ。冬にも何度か訪れ、温泉に浸かり、クロカンスキーで遊んだこともある。この山域には山小屋がたくさんあり、温泉も多いので、急な用足し、水や食料の補充、天候の急変などでも困ることは少ない。そんな中、2019年9月に南八ヶ岳の権現岳と編笠山に登った時は、どういう風の吹き回しか、二つの山の中間にあるキャンプ場にテントを張ってキャンプをした。たまにはキャンプも良いが、やはり荷物が重い。

早朝、権現岳への登山道から富士山を望む

おまけ: 燕岳 (つばくろだけ)

北アルプスの中枢、燕岳から大天井岳を経て槍ヶ岳に至る「表銀座コース」の入り口に当たるこの山は、深田久弥の”日本百名山”には入っていないが、登山道がよく整備され、適度にスリルもあって大人気の山である。標高2,763m。きつい坂を登り切ったところにある合戦小屋では冷えたスイカが食べられる。そして頂上まで少しのところに燕山荘 (えんざんそう) という立派な山小屋がある。天気が良ければ日没も日の出(御来光)も堪能できるし、広々とした喫茶室でコーヒーを飲んでもいいし、ビアジョッキで生ビールだって飲めるのだ。

2023.6.28 M. Hayashi

※冒頭の写真は、多くの火山群から成る那須岳の主峰、朝日岳 (標高1,896m)。那須岳は”日本百名山”のひとつである。

3か月前