7月の例会は、新型コロナ流行の合間を縫って、15日金曜日、地下鉄桜通線・高岳駅にほど近いマンションの2階にあるルーマニア料理店「Paradis」にて、暑気払いを開催した。参加者は5名。忘年会も2年連続で行っていないので、会合なしの宴会というのは久しぶりだった。
ルーマニアというと何を思うか聞いたところ、今回の参加者の世代では、1976年のモントリオール五輪で10点満点を出して3個の金メダルを獲得した体操のコマネチ選手を思い浮かべる人が多かった。それと東西冷戦が終焉していく中、1989年に「ルーマニア革命」により倒された独裁者、チャウシェスク大統領。私は世界的な宗教学者にして幻想小説の大家、ミルチャ・エリアーデを思い出すが、あまり知られていないかも。
和気藹々と話が弾み、ゆったりと時間が過ぎていく中で、いつの間にか2本のワインが空になった。誰が飲んだんだろう・・・
8月の例会は、19日金曜日、スペーシア会議室にて開催した。出席者は、リアル4名、リモート5名の計9名。
まず、「居心地」をテーマにした連続(断続?)セミナーの企画について検討した後、
「我が家のSDGs 〜SDGsと居心地は両立するか?〜」
をテーマに、私の家で日常的に行っているエネルギーの使用や廃棄物を減らす取り組みを披露し、その哲学 (?) の一端を紹介した。
生ごみの資源化
- 生ごみは、あまりに水分が多いものを除き、キッチンの後ろに置いてあるざるに載せ、乾かしておく。(臭いはしない)
- 水分が多いものはシンクに流し、ごみ受けに溜まった段階で乾かす。
- それらが乾いたらコンポストに投入。EM菌により堆肥ができるので、庭や畑で使う。(EM菌に特にこだわりはない。)
- 結果、我が家では生ごみはほぼゼロ。
- 当然ながら、食べ残しや残飯は極力出さないようにしている。
石鹸とヘチマ
- 我が家では中性洗剤は使えないことになっており、キッチン、洗面、風呂などでは純度100%の固形石鹸を使う。
- 食器洗いにはヘチマを使う。水切れが抜群に良く、捨てるときはコンポストへ入れる。何しろ、ヘチマはマイクロプラスチックを一切出さないのだ。
- ヘチマは畑で採れたものを乾燥させ、適度な大きさに切って使っている。
熱のカスケード利用
- 枝豆や麺類をゆでるのに使った湯は、流しに捨てず、蓋をしてとっておく。
- 食材を湯から上げる時は、網杓子を使う。湯を流してしまわない。鍋ごとシンクに置いたざるに空ける場合は、下にボウルなどを置いて湯を受けて、蓋をしておく。
- 食事の後、適度に温度が下がった湯を食器洗いに使うと、水と洗剤を劇的に減らすことができる。
暑さ対策
- 我が家ではエアコンを使わない。扇風機と団扇で暑さを凌ぐ。
- 事前の対策として、緑のカーテン、シャッター、カーテンで窓からの日射をできるだけ遮る。
- 木造2階建ての我が家では、1階の室温は、猛暑の時でも30℃までしか上がらない。
- それでも2階はさすがに暑い。これをどうするかが課題。
- あと、朝はできるだけ早く起きることにしている。
エネルギーを使って冷やすことの是非
- エアコンは、電気やガスを使って、温度調整したい空間を温めたり冷やしたりする。
- エネルギーを使えばどうしても熱が発生する。
- 暖房の際は排熱も利用できる (カスケード利用) が、冷房の際に発生する排熱は、ほとんどが室外に放たれ、外気を温める。
- 「家のつくりようは夏をむねとすべし。冬はいかなる所にも住まる。暑き比わろき住居は、堪へがたき事なり。深き水は涼しげなし。浅くて流れたる、遥かにすずし。こまかなる物を見るに、遣戸は蔀の間よりも明し。天井の高きは、冬寒く、灯暗し。造作は、用なき所をつくりたる、見るも面白く、万の用にも立ちてよしとぞ、人の定めあひ侍りし。」 〜徒然草より
移動
- 我が家では乗用車を保有しない。
- 「クルマなしでどうやって生きとるんや?」と問われた時は、以下のように答えている。
- まず、住む場所を選ぶ。買い物や通勤・通学に困らないが、緑が多く、駅まで歩くと適度に遠い場所 (2kmほど) を選ぶ。
- 移動には、できるだけ自分の足、自転車、公共交通を利用。
- 友人・知人、ご近所さんは、私がクルマを持っていないことを知っていて、気軽に相乗りさせてくれる。
大衆車の是非
- 自動車は資源大国で広大な土地を保有するアメリカで生まれた。スピード、快適さ、カッコ良さを追求。エネルギー大量消費。
- 例えば、60kgの私が重量1,340kgの乗用車に乗ると、1,400kgの物体を移動させるためのエネルギーが必要。
- 重量10kgの自転車なら、70kgの物体を移動させるエネルギーで済む。しかも人力。
- 自動車を否定するわけではない (トラック、バス、高級セダン、レーシングカー…)が、大衆車の普及が問題なのだ。
居心地とSDGs
- 「SDGsに配慮して生活していると居心地よくない。地球環境の持続可能性とか言われても、自分には関係ないし・・・」
- 「安くて便利なものが溢れているのに、使わないなんて。世間体が悪いし、変な目で見られてしまうし・・・」
- 世の流れに棹さすと生き辛い。人々の集合意識を変えるのは難しい。
- むしろ、いくつかの分野で設計思想の転換を進めるべきではないか。
設計思想の転換
- ひとたび製品がヒットすると、追随する技術や製品が次々に登場し、市場が形成され、結果としてその設計思想が固定化しがち。
- それが特定の環境下でのみ優位である場合も、固定化した設計思想を根本から変更することは難しい。
- 地球温暖化対策やSDGsを本気で達成しようとするなら、多くの分野で設計思想の根本的な転換が必要なのではないか。
- では、どうすれば設計思想の転換ができるか・・・・・
というわけで、話は尻切れ蜻蛉で終わるのである。
2022.9.8 M. Hayashi
※冒頭の写真は、姫路市にある日本玩具博物館の特別展「中国民衆玩具の世界」より、五毒や蛙の刺繍が施された「耳枕」。