例会の記録 2022年6月 トンボ、居心地

6月17日金曜日、いつものスペーシア会議室にて例会を開催した。リアル5名、リモート3名、計8名が出席。

トンボ

この日は、まず6月5日に開催された全国市民トンボサミット 豊田大会に参加したM. Asadaさんより簡単に報告をしていただいた。講演会の前に体験会があり、Asadaさんは矢並湿地を散策したそうだ。矢並湿地は、鞍ヶ池公園の東、豊田市矢並町にある5.13haの湿地で、上高湿地、恩真寺湿地と併せて東海丘陵湧水湿地群として「ラムサール条約」に登録されている。ここでは日本最小の「ハッチョウトンボ」が観察できる。体長2cmほどの小さなトンボなので見つけるのも大変だろう。Wikipediaで調べると、「日本国内での分布は局所的で、さらに近年の開発や環境汚染により著しくその数を減少させている」、「主として平地から丘陵地・低山地にかけての水が滲出している湿地や湿原、休耕田などに生息しているが、時には尾瀬ヶ原のような高層湿原でも見られることがある。いずれも日当たりがよく、ミズゴケ類やサギソウ、モウセンゴケなどが生育し、極く浅い水域がひろがっているような環境を好む」とあるので、今度、山登りのついでに湿地に行って探してみようと思う。

トンボといえば、「赤トンボ (アキアカネ) がいなくなった」という話を聞くようになって久しい。原因は何か。農薬との関連性が以前から指摘されているが、どうなっているのだろうか。

国立環境研究所が「農薬によるトンボ類生態影響実態の科学的解明および対策」(2017~2019年度)という研究を行っており、その成果がホームページに公開されている。代表者は、同研究所の生物多様性領域生態リスク評価・対策研究室の五箇公一室長。この研究では、1990年代から普及した浸透移行型殺虫剤ネオニコチノイドのうち、フェニルピラゾール系のフィプロニルの影響が甚大であり、「フィプロニルは室内試験から野外調査に至る 様々な角度からの検証においても トンボ類、特にアキアカネの減少要因とされる尤度が高く、本剤の使用量は早急に減少すべき」と結論づけている。この農薬は、「イネの苗箱に粒剤処理をして、処理苗を水田に植えることで害虫を防除する「箱苗施用剤」として多用」されているという。早期の対策を期待したい。

居心地

トンボの話に続いて、5月の例会のテーマ「居心地」について、参加者各位に質問してみた。「あなたにとって居心地の良い場所はどこですか?」

T. Sakuraiさんの回答は、「ひとりの時なら、静かで邪魔が入らず落ち着ける場所。二人なら話しやすい場所」とのこと。さもありなん。M. Suginoさんは、名古屋・伏見の居酒屋「大甚」の居心地が良いというお答え。私もコロナ前に二、三度行ったが、お酒も料理も美味しく、話も弾むし、お客さんでぎゅうぎゅうなのに不思議と居心地の良い空間なのだ。T. Koizumiさんは、借景も含めて自然が感じられる場所。特に苔がお好きとのことで、信州・北八ヶ岳の白駒池を訪れた時の感動を話してくれた。

私にとって居心地の良い場所はどこだろうか。例えば、落ち着いた色彩とデザインされた照明の部屋。照明は小さな白熱灯がいい。木陰のベンチ。きのこの森。山小屋のテラス。喫茶店ではBGMにこだわりたい。基本的にBGMはない方がいいのだが、それだと他の客の話し声が気になってしまうので、例えばブラームスの弦楽四重奏曲がかすかに聴こえているとか、気にならないけど耳を澄ませばどんな音楽なのかわかる程度がちょうどいい。80年代、東京で学生生活をしていたとき、よく喫茶「ルノワール」で長居をした。当時、この店のBGMはバロック音楽だったが、30分くらいでループしていたように思う。2時間いると同じ音楽を4回聴くことになる。

近くの公園で撮影した「きのこの森」

もうひとつエピソードを披露すると、これも学生時代のこと。山梨県の瑞牆山に単独で登ったあと、麓の山荘のテラスでビールを飲みながら、持参したSONYのウォークマンでピエール・ブーレーズの「ル・マルトー・サン・メートル (Le marteau sans maître, 主なき槌)」を聴いた。5月下旬だったと思うが、早朝から登って昼頃には下山したように思う。花崗岩でできた瑞牆山の見事な山容を望み、ビールを味わい、春の日差しを浴びながら聴いた現代音楽は心に沁みた。

2022.7.13 M. Hayashi

※冒頭の写真は、近所で撮影したオオシオカラトンボ。普通のシオカラトンボよりも大型で、近づいても逃げない。美しいトンボだが、ちょっとピンボケ。

3年前