7月の例会は、7月16日(金)、スペーシア会議室とリモートにて開催した。リアル6名、リモート6名の12名が出席。今回のテーマは、「朝鮮通信使」と「母系社会」。それぞれ私から話題提供し、意見交換を行った。
朝鮮通信使
三重県津市に唐人踊りという伝統芸能がある。秋に開催される津まつりの出し物として、寛永年間の1635年にはじまったとされる。唐人という言葉は、中国人だけを指すわけではなく、朝鮮人や南蛮人も含めて異国の人を意味するようだが、津の唐人踊りは朝鮮通信使を模したものだと伝えられている。このあたり、地元出身者として、昔から疑問に思っていた。朝鮮通信使って何だろう? 唐人踊りとどういう関係があるの?
そこで、書店で見つけた書籍やWikipediaを頼りに、朝鮮通信使について調べてみた。
江戸時代を通して12回、当時の外交官や通訳、医者、儒者、芸能者などの数百人の一行が、釜山から対馬を経由し、大坂までは海路で、大坂から京までは淀川を川船で、そして京からは大行列を組んで江戸までを往来したというのだが、京からは、近江、大垣、名古屋を経て、東海道を江戸に向かっているので、伊勢国はどこも通過していない。七里の渡しを避けたのだろうか。いずれにしろ津の町を通っていないのは確か。
通信使は、秀吉の二度にわたる朝鮮出兵(文禄・慶長の役)でズタズタになった日本と李氏朝鮮との間の関係を修復し、政治的・経済的・文化的交流を深めようという家康の意図により始められたようだが、加えて、文禄・慶長の役で捉えられた朝鮮人捕虜返還の目的もあったという。当時の東アジアの国際情勢が色濃く反映していると思われる。
朝鮮通信使の一行が大行列を組んで、京から江戸までの道のりを、偉い人は輿や馬に乗り、下々の者は徒歩で延々と歩いた。途中、橋がかかっていない大河がいくつもあるが、船を並べて臨時で船橋を作ったそうだ。慣れない日本食。朝鮮人通信使一行にとっては、数ヶ月にわたる辛い旅だったのだろう。
通信使一行の宿泊地などでは、文化交流が盛んに行われた。漢詩の交換、儒学の意見交換、そして朝鮮伝統の馬上の技芸である馬上才が披露され、度肝を抜いたようだ。この馬上才が気になる。私は、唐人踊りと関係があるのではないかと思っているが、リサーチを継続したい。
母系社会
もう一つの話題は、母系社会。『女たちの王国 −「結婚のない母系社会」中国秘境のモソ人と暮らす』(曹 惠虹著)を読んで知った驚きの内容を簡単に説明した。
男系社会 vs. 母系社会
• 家長、男性の地位、女性の地位
• 一夫一妻、一夫多妻、多夫一妻、多夫多妻?
• 財産の相続 ※長子相続、財産分与など
• 姓、一族の範囲、同居の有無
モソ人(族)
• 家母長を中心とする大家族で母系一族がともに暮らす。
• 娘の一人(長女とは限らない)が次の家長となり、財産を相続。
• 女性は13歳で成人し、家母長から遠い場所に自分の部屋「花楼」を持つ。
• 男は着飾り、外見の美しさやマッチョさを競う。
• 「走婚」(中国語) …男が夜、女の家/部屋をこっそり訪れ、一夜を過ごし、朝に帰る。
• 結婚、夫・妻、嫁・婿、父親の概念がない。愛人を意味する「アシア」のみ。
• 子は父が誰であれ母方の一族に属す。父には子育ての権利も責任もない。
• 男は家長である母や姉妹の家に住み、同じ一族の自分の子ではない子育てに関わる。
• 不倫、離婚、シングルマザー、DVはあり得ない。
出席の男性数人に意見を聞いたところ、「こういう社会はいやだ」という声ばかりだった。なぜだろう。そんなに悪くないと思うのだが・・・。
2021.8.22 M. Hayashi
※写真は、三重県総合博物館の展示。朝鮮通信使とは特に関係ありません。