10月の例会は、18日(金)、スペーシア会議室にて開催。11名出席。
10/13に実施した「ぶらりツアー」の報告、有志による農業体験農園へのお誘い、ヤギの話、合宿の内容についての検討、そして「アート展」の作品募集などの話をした後、本題へ。
この日は、「獅子舞の多様性」と題して、YouTubeで各地の獅子舞の映像を鑑賞しながら意見交換を行った。
まず、「ぶらりツアー」でも鑑賞した四日市の獅子舞。出演は、獅子、口取りの子供、笛、太鼓。獅子の前には大人、後ろ(後舞)には小さな子供が入るので、頭の方が背が高くなる。口取りは鶏の頭を象った帽子かぶり、ささらや扇を手に、獅子を相手に舞う。いくつかの演目があるが、どういうストーリーなのかははっきりしない。なお、同じ系統と思われる鈴鹿の椿大神社の獅子舞では、口取りは赤ら顔で鼻が高い猿田彦の面を付ける。
次は桑名の伊勢大神楽。国の重要無形民俗文化財に指定されているが、獅子にはふたつのタイプがあるようだ。まず、四日市や鈴鹿の獅子舞と同じように二人で入るもの。こちらは後舞にも大人が入るので背が高い。もうひとつは、頭に獅子頭をすっぽりかぶって一人で舞うもの。どちらも優雅な舞で、子供は出てこない。伴奏は笛と太鼓、鉦。非常に洗練されたすばらしい演奏だと思う。彼らは正真正銘のプロ集団でいくつかの家元があって、「一年の大半を回檀の旅に過ごす」(Wikipedia)が、年に一度、12月24日に桑名の増田神社に各家元が集合して舞を奉納する。その日は近鉄のウォーキング大会が催され、狭い神社の境内はカメラやビデオを構えた大勢の観客でごった返す。
続いて北陸へ。富山や石川は獅子舞の宝庫である。氷見には獅子舞ミュージアムもある。しかし、北陸の獅子舞は、四日市や鈴鹿のものとは趣が違う。まず、獅子は、獅子頭の後ろに後舞として数人の大人が入るので、龍のように長くなる。そして、その獅子に剣や錫を持った踊り手が対峙し、激しく舞う。これは闘いの舞だ。真剣勝負。踊り手は猿田彦(あるいは天狗?)の面を付け、烏帽子のようなものをかぶっている。あるいは何もかぶらずザンバラ髪を振り乱す。どうも日本らしくない。異国の匂いがする。もしかすると大陸から来たのではないか。渤海?
今度は沖縄へ。全身毛むくじゃらのリアルな大きな獅子が登場し、琉球の伝統衣装を身につけたイケメンの男性に挑発されて、飛びかかったりでんぐり返りしたりと大暴れ。両者の動きは闘牛を思わせる。かと思ったら、地面に座り込んで後ろ足で首筋を掻いたりして、案外かわいい。それにしても、獅子に入る二人の息がピタリと合っていなければ、こんな芸はできない。あと、ピクピクとよく動く獅子の尻尾は、どうやって動かしているのだろうか。
次は中国の獅子舞。赤、黄、緑などカラフルで大きな眼と口の獅子が7匹くらい登場。獅子には前と後に二人の人(学生さんか?)が入っていて、曲芸っぽいダンスを披露してくれる。怪獣の「モスラ」みたいでかわいい。
最後はインドネシア・バリ島のバロンダンス。バロンは聖獣と言われ、顔は赤くて日本の獅子舞に似ているが、顔の周りや背中に金の装飾品がたくさん付いている。長い毛、長い髭、大きな眼と口、牙が目立ち、聖なる獣の雰囲気を見事に醸し出している。そして、ドンシャンガンシャンと金属音を響かせるガムラン合奏団の演奏に乗って踊る。ちなみに、観光客相手の出し物らしく、この映像ではバロンダンスだけでなく、さまざまな踊りが出てくる。女性ダンサーの優雅な踊りは有名なレゴンダンス。また、最後の方に登場する長い舌をした恐ろしげなcreatureは、魔女ランダと呼ばれる妖怪で、聖獣バロンとの間で永遠の闘いを繰り広げるという。こわーい。
これらはみんな獅子舞の系譜に連なるものだと思われるが、文献によると、そもそもの発祥は中国だという。文化の遺伝子は伝播する。そして、次々に変異していく。獅子舞は、日本や東南アジアにいつの時代にどのように伝播したのだろうか。また、猿田彦との関係や如何に。渡来人との関係もありそうな。・・・興味は尽きませんね。
M. Hayashi 2019.11.17
※ アイキャッチ画像は、大府市のあいち健康の森公園で実験的に飼っているヤギの接写。生後8ヶ月くらいのオスが2匹。とりあえず1ヶ月間のレンタルで、除草効果を確かめているところだそうです。人間が苦手な傾斜のきつい法面でも平気で草を食べてくれるところが嬉しい。もちろん餌代はかかりません。