2019年の手帳を入手するに当たって、面白いものがないかネットで調べていたら、「発酵手帳2019」というものを見つけました。小泉武夫先生が中心になって設立されたらしいNPO法人発酵文化推進機構が編集協力しています。おもしろそうじゃないの。早速、アマゾン川に手配したら翌々日に届きました。
この手帳、巻末付録に「発酵カレンダー」が掲載されていたので、早速チェック。やはり冬場は作れるものが少ないようです。
でも、冬場の気候で作れるものに「柿酢」があるみたい・・・はて、なんだろう?
小泉武夫先生のホームページで調べると、なんと、柿だけで作る酢なんだそうです。
これだ!という直感が働いて、行動に移るまでに時間がかかりました。なんとなれば、すでに我が家の敷地の隅っこに生えている柿の木に実った柿も、お隣さんからいただいた柿も食べ尽くしていたからです。仕方ないので近くの産直ショップで1袋買ってきたのが12月8日でした。
その12月8日の夕方、作業開始。今回使う柿は6個。甘柿で固くしまっています。
へたを取り、少しいたんだところを除きました。
これを広口瓶にギュッと詰め込み、ペーパーナプキンと輪ゴムでふたをしました。これでこの日の作業終了。
1日1回ふたを開けて、へらでギュッギュッと押し込んでいきます。これは3日後です。
柿からどんどん水が出ます。
紙ナプキンで蓋をして、空気の出入りを確保しています。
6日後。まだ酢の匂いはしませんが、熟しすぎた果実の匂いがします。天然の酵母によるアルコール発酵が進んでいる模様。
2週間がすぎました。酵母によるアルコール発酵で産出されたアルコールを栄養にして酢酸菌が酢酸発酵をしてくれたようです。もはや固形物は皮が少しと種くらい。酢の匂いがしてきました。
味見をしてみたところ、どこかで経験したことのある味!
これはなんだ?・・・そうそう、柿なますの柿の味なんです。柿なますには熟した柿や干し柿を使いますね。それに酢が加わったような味です。美味い!
これはそのまま調味料として使えるぞ!と思い、白身魚の刺身に合わせてみました。魚はスズキとタコ。酸っぱすぎず、塩がなくても十分美味しいです。これはいけますぞ!
1ヶ月くらいしたら濾して透明な柿酢ができることになりますが、これは本日12/30の様子。あと1〜2週間かかります。でも、このままでも十分調味料として使えます。
というわけで、この柿酢の中間品をお節料理に使ってみることにしましたが、こちらは後日報告します。
それにしても、「なます」という言葉が気になってきました。「膾」という漢字があって、中国から来た文化であるような気がしていましたが、もともと日本に「す」はあったはずで、「なます」も存在していたのではないか?
以下、私の説ですので、眉にツバして読んでください。
「なます」とは、酢ができるプロセスの中間段階で、まだ「なま」の状態の「す」をいう。ここでいう「なま」とは、火が通っていないという意味ではなく、完成に至るプロセスの中間段階の意味。したがって、「柿なます」とは柿で作った「なます」のことをいう。よって、我が家で熟成しつつある柿酢の中間品は、まさに「柿なます」なのである!!
M. Hayashi 2018.12.30